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内部被爆について考える2

Posted by ななし on 15.2015 記事 0 comments 0 trackback
続きです。

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2. 高密度イオン化と低レベル放射能-発がん率上昇をもたらす原因

-2-1. 異常再結合は高密度

イオン化からイオン化が高密度であることの影響は、単に打撃が集中していることだけではありません。生物学的にも(物理的に見ても)切られた結合は元に戻ろうとします。しかし、集中してイオン化を受けた場合には元の相手と一緒になれない可能性が高まります。図3に、ちょん切られた原子同士が再結合するときの、イオン化が疎らである場合と高密度の場合の違いを示します。

高密度被曝の場合は再結合するときに相手を間違え、DNAの塩基配列が正しく修復されない確率が高まります。これが一発一発のα線で引き起こされるものですから、疎らにイオン化されたばあいと比較にならない危険度があります。もちろん、DNAが損傷を受けたとしても、遺伝情報やその発現のコントロールが影響を受けるのは一部の場合に限られますし、ヒトは発がんに対して2重3重の防御機構を持っているといわれます。しかし、多数のα線による内部被曝でできるDNAの異常のすべてを防御できるものではありません。α線発生源が体内に取り込まれた場合には、周囲のごく狭い範囲に強い影響を及ぼすことを正当に評価すべきです。この特質は、劣化ウランの微粒子が体内に侵入した場合には、多数のがん患者が発生する可能性を説明しうる充分な根拠になります。ウランが発がんを誘発する根拠は充分すぎるほどあると言えるのです。
 図4は、α線の飛ぶ距離と細胞の大きさのイメージ化です。細胞核にはDNAが詰まっています。α線が細胞核をヒットした場合、DNAに高密度被曝・イオン化を与えます。DNAが間違った再結合をして、もしそれが細胞の異常増殖等の活動を引き起こしたらがんや腫瘍の発生と結びつきます。なお、DNAの損傷は、水分子のイオン化等を媒介として、間接的なプロセスで行われることも知られています。

2-2. 低レベル放射能の危険

もし、ウラン微粒子から(1秒当たりに)α線がものすごくたくさん打ち出されるならば、切られた原子同士が再結合しようとする暇無く、切られっぱなしとなります。その場合には細胞が死んでしまうと考えられます。それに対し、ウランからのα線は“ 低レベル”といわれるように時間当たりにして少数のα線が打ち出されます。試算すると、直径5マイクロメートル(千分の5ミリメートル)のウラン微粒子の場合に打ち出されるα線は1日当たり1個程度となります。直径がそれ以下だと充分再結合の時間があります。ウラン微粒子が体内の一カ所に長時間とどまる場合は、劣化ウランは低レベル放射能だからこそ、細胞死が生じないレベルでDNAなどの物質を損傷すると考えることができ、発がんの危険がより大きいともいえます。

2-3. 原爆と内部被曝

原爆の場合の、直接浴びた一次放射線はγ線、中性子線です。中性子線は電子を吹き飛ばしてイオン化させるのではなく、原子核にぶつかり、原子を放射能化します。この場合主としてβ崩壊の放射能となります。核分裂してできた原子はいずれも半減期の短いβ崩壊放射能です。黒い雨などに含まれる放射能の大部分は半減期の短いβ崩壊です。爆発直後はものすごい放射線の強さがありますが、半減期が短いものが圧倒的に多いので、時間とともに減衰し、やがて治まりました。
β線(電子線)はα線のばあいと同じように考察できます。α線放射もβ線放射もγ線の放射が伴いますので、黒い雨に打たれた人や、原爆が炸裂してまもなく爆心地に入域した人は内部被曝だけでなく、外部(残留放射能)からのγ線による被曝もともに健康を害したことと思います。しかし、内部被曝の影響の科学的評価がきちんとなされていたならば、今日の原爆症認定の非人間的な国家基準はもっと形を変えていたかもしれません。原爆症認定のプロセスにおいても、低線量・低レベル放射能の内部被曝がキーポイントとなります。

2-4. WHOの見解

  WHOの劣化ウランに対する考え方は、国際放射線防護委員会の規準そのものを言い換えたにすぎず、結果として非科学的な評価をしています。

WHO (World Health Organization)Depleted Uranium( 劣化ウラン)Fact Sheet No. 257 2003 年1月…しかしながら、DU はほんの弱い放射能だから、大量の(数グラムの程度の)DUの埃を吸い込まないならば、被曝したグループで、検出できるだけの肺癌の危険は高まらないだろう。他の放射線誘起の白血病を含むがんの危険は、肺がんの危険より非常に少ないと考えられる。

WHOは昨年1月の劣化ウランと題する見解表明(ファクトシート257)で、現場の発がん率10 倍化を知りつつ、発がん率の上昇は劣化ウランとは考えられない(低線量被曝は発がんの根拠にならない)、としています。その根拠の1つは、国際放射線防御委員会の規準にあります。根拠の2つ目は放射線科学の実験事実を根拠にしていると思います。すなわち“ 低線量で内部被曝をさせても発がん率の上昇にはならない” と。これについては、研究室で行う実験の限界を謙虚に評価すると,現実に起こっている「規模は大きいが比率は小さい」事象を代弁できないことに気がつくはずです。ある種のがんの発がん率が10 年間で10 倍化していても、10 万人当たりの比率にしてみれば10 人程度だったものが100 人程度に増加したもの、百分比では0.01% が0.1% に増加したというレベルです。このように低率で、しかも長期間かかって発現することが、どれだけ実験によりとらえられるでしょうか。実験室でそのまま再現するためには、何万匹もの実験動物を10 年を越える長期間にわたって飼育する必要があるのです。これまでの実験で捉えられていないとしても、100 万単位の人の中での発がんを否定する根拠には決してなりません。また、WHOは“ 水溶性劣化ウラン酸化物は体内に入っても短時間で排出されるので、放射線被害はとるに足りない” としています。
しかし、イラクの汚染地区の人々は、劣化ウラン微粉末を体内に取り込んでいる可能性も高いと考えられます。いつでも体内に劣化ウランを蓄えていることになります。このように生活環境が汚染された場合には、実験的にたった一回投与して排出されたというようなデータをそのまま楽観的に適用して現場の評価をしてよいものでしょうか。加えて極めて遺憾なことに、WHO は内部被曝を論究した論文を隠蔽したと伝えられています(英紙サンデーヘラルド)。




かなめんた
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