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適職イデオロギーということ

Posted by ななし on 06.2019 記事 0 comments 0 trackback
 最近ネットなどで学生の就職活動の記事を読むと、「20~30社を受ける。」といった内容の記述に行き当たることがあります。
多い人でも受ける会社の数はせいぜい片手の指以下だった昔に比べて、ずいぶん様変わりしたものだと思うとともに、違和感も覚えます。

少し前に読んだ本に次の記述がありました。

以下引用~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

就活を始めるに当たって最初に叩き込まれるのが「適職イデオロギー」です。
就職情報産業の営業マンがやってきて、大学2年生を講堂に集めて「空気を入れる」時に彼らはこう言います。
「諸君ひとりひとりには、この広い世界のどこかに、ただひとつだけ自分の適性に合致した『天職』がある。これから1~2年余りのうちに、諸君は自分の適性に合致したこの職業に出会わなくてはならない。そのために捧げうるだけの時間とエネルギーを就活に投じなければならない」
学生たちはびっくりしますけれど、たいてい根が素直な子たちですから、たちまち「タブラ・ラサ」に墨汁を落とされたように、この「適職イデオロギー」に染め上げられます。
 そそて自分が適職に出会えないのは、「自分の適性が何であるかにまだ気づいていないからだ」ということと、「世の中にどのような職業があるかについてまだ充分に知らないからだ」という2種類の「情報」不足によって説明されるということに、うっかり頷いてしまう。
そうして適性試験を受けたり、目を赤くして就職情報誌に見入ることになるわけですが、もちろんこれらの情報は無償ではありません。かの「適職イデオロギー」を宣布してまわった営業マンの会社が課金して販売している商品なのですから。
この段階で、「なんかめんどうくさそうだから、今バイトしている店の店長が『卒業したら、このまま正社員になってきてよ』ち言ってるし、このまま入っちゃおうかな」とか「オヤジも年だし、これまで苦労をかけたから家業継ぐか」という「ゆるい」就職観は厳しく排斥されます。

 この「適職イデオロギー」というのはきわめて強烈なもので、これを一度受け容れてしまうと、学生たちは「本当に『こんな仕事』に就いて「いいのだろうか」という不安から逃げられなくなります。
就職活動中ももちろんですが、実際に内定をもらったあとも不安が鎮まらず、さらに就活を続ける学生がたくさんいます。
最初に内定をくれたところはそれだけ「ご縁」があるということなんだから、そこでいいじゃないかと僕は学生に相談されると答えるのですが、僕の場当たり的な就職観に説得される学生はほとんどいません。

就職情報ビジネスが「どのような仕事についても『これがほんとうに自分の天職なのだろうか』という不安から決して自由になれない人々」を量産することによって利益を上げるビジネスモデルであることは自覚しておいたほうが良いと思います。

引用終わり~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

引用もとは内田樹「呪いの時代」新潮社 です。



高橋克己
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